男性看護師の仕事

病院勤務における男性看護師の役割、悩み

1.勤務病棟について

男性看護師は精神病棟の勤務が多い?とよく言われています。結果から言うと、男性看護師が割り当てられやすい病棟はあります。

実際に私が看護学校時代に実習を行っていた病院では精神病棟があり、そこで働かれる看護師には男性の看護師が多かったように感じました。それ以外では他にもICUなども男性の看護師が多かったです。

 

やはり精神病棟では病気によって病識が無く、措置入院などで自身の意志とは関係なく入院させられている患者さんなどは暴れる方もいらっしゃいますし、ICUなども術後せん妄などで暴れる患者さんがいますので、そういったときに力のある男性看護師がいるのは病棟にとって心強いもののようです。

 

私の働く脳神経外科でも、脳炎や脳血管性の認知症患者さんなどで混乱し医療従事者に暴力を振るう方もいて、先輩に「お前の出番だ!」と出動させられたことも何度もあります。

 

え~じゃあ男性看護師は職場選べないの?というとそうでもありません。

 

私の働く総合病院は精神病棟は無いということもあるのか、全体的に見て男性看護師がどこかの病棟に偏っているということもありません。

最近は少子高齢化に伴う慢性的な看護師不足の背景からか、看護師の待遇を重要視する病院も多く、個人の希望を尊重してくれる場合が多いです。規模が小さく科が少ない病院は別として、本人が嫌がる病棟で無理やり勤務させる病院の方が少ないようです。

 

それにどんな病棟でも移乗や体位変換など力がいる場面というのは同じようにありますし、今はチームやペアで動く看護体制を敷いている病院が多いので、力のいる場面は複数で対応するのが基本です。

 

いくら男性は女性より力があるでしょと言われても、ムキムキに鍛えたボディビルダーでもない限り、1人で2人以上の力を出すことなんて難しいのです。

男性は頼られるといい気持ちになって頑張ってしまいがちですが、無理して体を壊して働けなくなることもあるので(特に腰)、そこはみんなで協力していくのが大切なのです。

 

どこで働くかは、結局のところ自分がどんな看護師を目指しているか、それを上司や看護部へアピールできているかが大切です。大体は1年に1度はそういった話のできる面談などがあるので、そこで自分が将来的にどんな看護師を目指しているのか、そのためにはどんな病棟で働きたいと思っているのかを伝えれば、男女関係なくおのずと希望の場所で働くことが出来るのではないかと思います。

 

2.男性看護師としての役割

看護学生時代、先生に何度も言われてきたのが「男性看護師にしかできない看護をしろ」という言葉です。

 

看護は正解は無いと言われている業界なので、この役割というものもそれぞれの看護師が自ら考えを構築していくべきものだと思います。よってこれはあくまで私の看護観では、という前提をおいて話をしたいと思います。

 

男性看護師の大きな役割としては大きく分けて3つあると私は考えています。

1つ目は精神面の部分、2つ目はセクシュアリティの部分、3つ目は力強さの部分です。

 

①精神面の部分

男には男にしか分からないことがあります。ひとつ事例を挙げると、以前60代で脳出血で入院されていた男性の患者さんがいて、とても気難しく、医療行為や退院後のアドバイスなどを素直に聞き入れていただけない患者さんがいました。

女性看護師にはセクハラをしたり、罵声を浴びせたり、点滴を勝手に止めたりとやりたい放題で、看護師間ではほとほと対応に困っていた患者さんでした。

 

とある日、私がその人の担当になったのですが、当時私は新人で部屋を担当した時にとてもビクビクしながら訪室しました。その時、その患者さんはテレビで野球を見ていました。

 

僕も野球は好きだったので、コミュニケーションをとるために「野球お好きなんですか。」と話しかけると「にいちゃんも野球みるんか?」とかえってきたため、そこから野球トークで話が盛り上がりました。

なんでもコテコテの広島カープファンらしく、前田健太投手や以前までいた地元出身の選手の話など、野球を見ていないと分からないネタで会話が広がり、私はその患者さんととても仲良くなりました。なにかあると「あのにいちゃんおらんのか」と私を指名してきたりして、私が日勤の際は必ずその患者さんがつくようになりました。

そんなある日私はその患者さんになぜそんなに治療に非協力的なのかを聞いてみました。すると「俺はあれやこれや指図されるのが嫌いなんや、若い女の看護師とか、偉そうにこーしろあーしろ言われて、ハイ分かりましたとか言いたくない。自分の身体のことは自分が一番わかってるんや。」と言われました。

 

男尊女卑とまではいかずとも、年配の男性では今でも男の方が立場が上だと考えられている方は大勢います。それまで何不自由なく生活出来ていた方が、脳出血で麻痺が残り、下の世話から食事まで介助が必要になってしまったことは相当なストレスだったと言われていました。その反発が患者さんとの個性と相まって、非協力的な態度となって表れていたのです。

 

その時新人の私はただただ辛かったですねと話を聞いているしかできませんでしたが、その日以来その患者さんはとんとおとなしくなり、以前のような迷惑行為はほとんど行うことも無く、リハビリのため回復期病院へ転院されていきました。

 

退院後、師長に「あなたが関わったからこそ、あの人は変わったんだよ。自信を持ってちょうだい。」と言われ、新人ながらも、男性看護師として生きていく誇りを少し手に入れることが出来ました。

 

これはあくまで一例ですが、この患者さんのケースように男性看護師が関わったからこそ、うまく患者さんによりそう看護ができるケースがあります。単に野球を知っていたからという訳ではなく、男性だからこそ話せる気持ちというものもあり、そこに寄り添うことができるのは男性看護師だからこその強みであり役割なのだと私は思います。

 

②セクシュアリティの部分

みなさん自分が患者さんになったとして、下のお世話って誰にされたいですか。私だったらキレイな女性看、、、いや男性の看護師にされたいと思います。

 

以前までは看護師≒女性の時代だったので、男女関係なく女性がするのが当たり前だったのかもしれませんが、男だって異性に下のお世話をされるのは嫌だと思う人かって大勢いるのです。

 

実際働いてみて「やっぱり男の人の方が楽やな」と言われることも何度もありますし、特に若い男性の方はその傾向にあるようです。

しかしまだまだ女性が男性のセクシュアリティな部分に介入することと、男性が女性のセクシュアリティな部分に介入することとの隔たりは大きく。私も女性患者さんの援助を行う際には気を遣いますし、「男ですけどいいですか」と一声かけるようにしています。けどその逆ってほとんど見かけません。

 

銭湯でおばちゃんが男風呂掃除してても何も言われることはないでしょうが、おじちゃんが女風呂掃除してたら大騒動ですよね。(私はおばちゃんが当たり前のように掃除してるのも嫌ですけど。。。)

 

しかし上記でも述べたように、看護師の世界においても女性が男性のセクシュアリティな部分に介入することは、あくまでそれが一般化しているから何も言わないだけで、実際はいやだと思っている患者さんも大勢いるのです。

男性看護師が増えてきている昨今、この男女の看護師の役割の部分の考え方が見直されるべきではないかと私は思います。

 

③力強さの部分

え、さっき力仕事は協力してやるべきで、男性看護師だからこその仕事じゃないって言ってたじゃん、と思われる方もいるかもしれません。しかしそれはあくまで働き方の話であって、今回は患者さん側目線での話になります。

 

あなたは自分が病気でうまく体が動かせなくなったとして、ベッドから車椅子へ移乗される際、小さい女性看護師か、大きい男性看護師か、どちらがいいですか?

 

私は体が密着するから女性看、、、やはり男性看護師の方が安心して任せられます。

 

そう、力が必要な介助を行う際には、患者さんからすると、男性看護師がいてくれるのは大きな安心感があります。これは実際に患者さんからも何度も言われたことがあります。ようやく歩くリハビリまで出来るようなり、看護師見守りのもとで歩行するとなったら、横に男性看護師がいてくれるのは心強いですよね。

 

病院でよくあるアクシデントの1つにこの転倒・転落による受傷があり、やっぱり患者さんも怖いのです。安心して身体を任せられる存在になれるのはやはり女性看護師より男性看護師の方だと私は思います。

 

それに何より、周りの女性看護師から求められる部分はこの力仕事の方が多いのが実際のところなのです。

 

3.男性看護師としての悩み

昨今男性看護師が増えてきたと言われていますが、まだまだ女性が主体の職場であることはまだまだ変わりそうにありません。

私の病棟では看護師が全員で約40名ほど勤務していますが、その中で男性は3人です。これでも病棟としては多い方で、男性看護師は全体の1割にも満たないのが実際です。その中での男性ならではの悩みをいくつか挙げていきたいと思います。

トイレに行きにくい

職員専用のトイレがありますが、男女別で用意されている病院はまだそれほど多くないのではないでしょうか。

容易基本女性の職場ですので、とても気を遣います。女性が出てきてすぐ行くのはマナー違反なのですぐには入れませんし、とある先輩からは、「男少ないんだから病棟のトイレ使ってよ」と言われたこともあります。

それで病棟のトイレを使っていたら師長に「なんで患者さんのためのトイレつかってるの!!」と怒られる始末、、、どうすりゃいいのよトホホ。

 

コミュニケーションが難しい

やはり男と女、コミュニケーションの取り方は非常に難しいと感じます。

休憩中も基本は女性の話題なので中々話の輪に入りにくい部分もありますし、聞いていてもなんでそこ笑えるの?とか、その返しの意味が分からないなんてしょっちゅうです。自分では面白いことを言ったと思ってもシーンなんて日常茶飯事、彼女と話すのならともかく、職場の同僚の異性とうまく話をするのはすぐには無理ですね。

今はだいぶ付き合いも長くなってきたので普通に喋れるようになってきましたが、1~2年目はとてもつらかったことが思い出されます。。。

 

しかし、ようやく話が出来るようになってくると、今度は「なんかあの子とばっかり喋ってない?」とか「あの子のこと無視してない?」とかこっそり言われるようになってきて、あぁホント女ってめんどくさいなぁって思っちゃいます。

別にいいじゃん、好き嫌いあってもさ、と言えたらどれだけ楽か、、、。

 

女性患者さんの介助に気を遣う

これは先にも話しましたが、やはり女性のトイレ介助や清拭などの介助の際には気を遣います。まだまだ女性社会の看護師の世界、女性からすればなんで男なの?という方がほとんどです。

トイレからナースコールがあって入ったら女性でショックを受けられたことなんていくらでもあります。

年配の女性は気兼ねなくOKをもらえることが多いですが、基本は男性看護師は女性の介助に入る際は了承をもらう。若い女性ならそもそも介助に入らないというのが暗黙の了解のようです。

 

いい意味でも悪い意味でも目立つ

男性看護師はすべての行動に関していい意味でも悪い意味でも目立ちます。

ミスをすればあいつがやったのか!とか、ちょっとした事でもやり玉に挙げられます。男性看護師は女性看護師に比べ明らかに怒られてる頻度が高いように感じます。

そんなの他の看護師もやってるじゃん!って何度思ったことか。

 

しかし逆にいいことをすればそれも目立つので、みんなにチヤホヤされます。

仕事が出来ない男性看護師は加速度的にドンドン仕事がつらくなってくるし、逆に仕事が出来る男性看護師はじゃんじゃん仕事が楽しくなってくるメリハリの大きい仕事なのかと感じます。

 

イベントごとはほとんど参加させられる

病院によっては新年会や忘年会などの行事が行われることがあるかと思いますが、男性看護師はほとんどと言っていいほど強制的に参加させられます。

 

私も毎年忘年会では出し物をさせられてます。年末年始はこれでホントにナイーブになります。

 

看護師総数ウン百人の前でパンツ一丁で踊ったり、全身タイツで踊ったり、なにがおもしろいのか分かりませんがやらされてます。

 

個人的にはこれが一番つらいかも、、、、

 

個人ロッカーや仮眠室が無い

私の病院は違いますが、知り合いの男性看護師の病院では男性用のロッカールームや仮眠室が無いそうです。やはり男性看護師は少数なので、そういう設備は大きい病院じゃないと用意されていないことが多いようです。

投稿日:2017年3月2日 更新日:

執筆者:

ブログランキング

ブログランキング始めました。ぽちっと押してくれるとランキングが上がってきます。ご協力いただけると嬉しいです。


看護師ランキング

ブログ統計情報

  • 32,398 アクセス