勉強になるブログ

ALS患者さんへの看護、なにが正しいのか。

投稿日:

こんばんはタクヤです。

今日はいつになくまじめな話。

 

実は最近ALS疑いの患者さんがおりまして。その患者さんへの看護について、非常に考えさせられたのでちょっと記事にしてみようと思いました。

 

まずはALSを知らない方へいつものように簡単に管理人理解のALS説明

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは

症状

ALSってあんまり知られていない疾患かと思いますが、簡単に言うと脳から末梢への神経のうち、運動をつかさどる神経だけが障害されていく病気です。

 

症状としては全身の筋力の低下がおこり、進行するとほぼすべての筋肉が動かせなくなります。

 

ただし上位にある動眼神経だけは障害を受けず、最終的には眼だけが動くような状態になります。また、排泄に関わる神経も障害を受けず、失禁などはありません。

 

怖いのは感覚をつかさどる神経は障害を受けないため、身体は動かないのに、痛みや痒みなどの感覚は残ります。

 

呼吸筋も動かせなくなっていくため、徐々に呼吸不全が起こり、最終的には人工呼吸器が無ければ生きていけなくなるという非常に怖い難病です。

 

予後

大部分は発症から2~3年で呼吸筋の麻痺により呼吸器を付けなければ生存できない状態となります。

 

呼吸器を装着すればそこから数年から数十年の生存が期待できますが、臥床状態の継続による全身の合併症により命を落とすケースがほとんどです。

 

治療

根本治療はありません。

現在日本の保健認可の薬としてはALS治療薬のリルゾールとつい最近認可されたラジカットと呼ばれる薬がありますが、どちらもあくまで進行の抑制が目的で発症初期にしか効果が無く、平均3か月程度の寿命延長効果が得られるといわれているにすぎません。

 

患者さんの選択

ALSの患者さんは約10万人1~2人と言われています。案外知られていないことなのですが、この中で、人工呼吸器を使って延命を図る患者さんは30%程度と言われています。

人工呼吸器を付けて延命しても、その先は感覚だけが残る生き地獄です。痛くても痒くても声帯も動かせないため声も出せません。目線でコミュニケーションを取る方法がありますが、実際にそれでコミュニケーションを取ることは非常に難しいです。

最近テレビで目線の動きをコンピュータで認識して文章を書きだすような装置があることを知りましたが、もちろんすべての患者さんがそれを使えているということはありません。その装置一台だけで何百万としますし、もちろん保健適用ではないからです。

 

看護の壁

今回受け持った患者さんは、発症初期であったため身体は動かせましたが、ALS患者さんには珍しく声帯の筋肉から障害されていました。

 

そのため、身体は元気だけど

 

・声が出せない

・物が飲み込めない

 

という状態でした。

 

身体は元気なので、筆談でコミュニケーションを取ることはできましたが、病気に対するショックが大きかったためか、看護師に対する当たりが強く、不満をぶちまけている状態でした。

 

キュブラーロスの「死の受容過程」という理論があるのですが、

それによると、死に至る病を患った患者はその心理状態の経過として

 

①衝撃(驚きからパニックになる)

②怒り(病気の原因を自分以外の者にあて、怒りをぶつける)

③取り引き(現状を理解し、何とかならないかと模索する)

④抑うつ(どうにもならないことを知り、抑うつ状態になる)

⑤受容(病気を受け入れ、残された人生をどう過ごすかを考えだす)

 

という過程をたどるとありますが、この方の場合、まさにこの怒りの部分だったのだと思います。

 

受け持ちをするにあたって、どう接すれば良いかと教科書を引っ張り出て読んだのですが、

 

「ありのままの患者さんを受け入れる」

 

とのこと、

 

いや、確かにそうなんだけどさ・・・・

 

具体的にどうすればいいか分からないよ!!!

 

看護学校時代に看護計画にそれっぽく書いた内容を思い出しました。

 

「患者さんの思いを受け入れる」

「患者さんに寄り添う」

 

う~ん・・・

 

寄り添うってなんだと思います?

思いを受け入れるってどうすれば受け入れたことになります?

 

隣で話をウンウンと聞いていれば寄り添っていますか?

話を聞いて、「分かりました、おツライですね。」って言えば受け入れたことになりますか?

 

どっちもしましたけど、全然寄り添えた気にも受け入れられた気にもなれませんでした。

 

結局その患者さんは治療の1クール目を終えて一旦退院となりました。

 

おそらくまた入院してくることになるでしょう。

 

きっと症状がもっと進行した状態で。。。

 

 

脳神経外科に勤務しているので、脳腫瘍の患者さんなど予後は決してよくない患者さんと関わることはありましたが、ALSのように将来的な確実な死が待っている患者さんと関わる機会はあまりなかったので、

 

この人のための、この人に必要な看護ってなんだろう

 

と強く考えさせられました。

 

ここで記事にして見ている誰かに問いかけても、教科書をいくら開いても多分答えはありません。

 

答えは患者さんしか持ってないですから。

 

 

 

 

ブログランキング始めました。現在のランキングはこちら。


看護師ランキング

スポンサードリンク

スポンサードリンク

-勉強になるブログ

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

ギラン・バレー症候群多くない?今日はギラン・バレー症候群のお話

こんばんわタクヤです。 ちまたはゴールデンウィーク真っ只中ですね!天気もいいし旅行するには最高の天気が続いております! え?私ですか?   仕事ですがなにか?。゚(*´□`)゚。 。 &nb …

地域連携クリティカルパスで師長さんにお説教、後半はまじめな話。

こんばんわタクヤです。 本日は地域連携クリティカルパスのことについて。 今日はその地域連携クリティカルパスの書き方について、師長さんに長めのお説教(いや多分本人は指導と思っているのでしょうけど)をいた …

半年妊娠しない、これって異常?と今日は妊娠についての話

こんばんはタクヤです。 始まりましたねゴールデンウィーク!ちまたでは最大9連休ということで、みなさんいろんな場所への旅行計画をたててわくわくしている人も多いのではないでしょうか。 ちなみに私はですね、 …

新人のとき大切なこと、そして新人歓迎会

おはようございますタクヤです。 昨日は新人歓迎会でした。こっちでは桜が咲いて、会場のガラス越しに見える桜の街路樹が本当にきれいでした。   新人さんのあいさつでは、まだ入社してすぐということ …

DNRとDNAR、違いって知ってる?

こんばんわタクヤです。 最近いろいろ悩ましい日々が続いており更新が出来てませんでした。 さすがにちょっと空きすぎで反省の管理人です。   本日はDNRとDNARについて。 最近患者さんの情報 …

ブログランキング

ブログランキング始めました。ぽちっと押してくれるとランキングが上がってきます。ご協力いただけると嬉しいです。


看護師ランキング

ブログ統計情報

  • 32,385 アクセス