【訪問看護師さんに読んでほしい】家に帰った瞬間に亡くなった患者さんの話、地域医療の価値を知る。

こんにちはタクヤです。@f_c_t77

今日は最近あった患者さんとのお話し。

 

この事例を通して本当に地域医療の大切さ、重要性を感じた一件です。みなさんがどう感じるかわかりませんがどうしても伝えたくて記事にしました。

 

タイトルだけ見ると状況が分からないかもしれませんのでまずは患者さん紹介。

※個人情報保護の観点からかなり脚色してますのでそこはご了承ください。

 

肺炎で入院の鈴木さん

鈴木さん(仮名)は80歳台のおばあちゃんで肺炎で入院してきました、長年タバコをやっていたので既往にCOPD、間質性肺炎があり入院時はSpO2の低下と呼吸苦が顕著で訪問してきた孫が倒れているのを見つけて救急搬送、入院してからすぐに抗生剤および酸素投与が始まりました。

 

認知症の診断は無かったもののかなりの認知機能の低下もありました。

 

夫、子供を早くから亡くしており独居、元々家では這いつくばりながら生活していた状況だったそうで、キーパーソンは近くに住むお孫さんのみという状況、一応介護認定は受けていましたがサービスは使っていませんでした。

 

元々かなりこだわりの強い性格で人からの手助けをほとんど受け付けないような人でした。

 

そんな鈴木さんは僕のプライマリー患者になりました。

 

入院中の様子

とにかく治療拒否が強く、早く家に帰して帰しての一点張りで

 

・酸素は外すは

 

・点滴はぶっこ抜くは

 

・看護師には手を出すは

 

・フラフラなのに自分で歩いてトイレに行こうとするは

 

でかなり手をつけられないような状況でした。しかも悲しいことに本人は病識が全く無かったため、意図的ではなくて本能的にやっている感じだったんですよね、さらには夜間には皆さんご存知

 

ハイパーせん妄タイム٩( ‘ω’ )و(泣)

 

・叫ぶ

 

・暴れる

 

のオプション付き

 

正直ほとんどの看護師は受け持ちを嫌がってました。

 

なぜか気に入られた俺

そんな患者さん、本来ならガチガチに抑制することが多いのですが、なにぶん抑制するとせん妄がひどくなる可能性が高かったのでほとんど抑制はせずになるべく目の着くところで看護しようという方針になりました。

 

なので治療拒否があれば、まぁとにかくそばで話を聞きまくって説得しまくって落ち着かせてなんとか酸素と点滴を継続させるというのがここ数日の俺の仕事になりました。

 

そんなこんなをしているうちに、なぜか鈴木さんは俺のことを孫と認識したらしく、「しゅうちゃん」と呼び俺が顔を見せるとめちゃめちゃ喜ぶようになりました。

 

それからは俺のお願いは割と素直に聞いてくれるようになって、いよいよもって病棟では俺が鈴木さんの専属ナースになっていきました。

 

付き合っていく中で分かったのですが、鈴木さんはこだわりこそ強いけど芯は可愛らしいおばあちゃんで、ゆっくり時間をかけて話をすれば大体落ちついてくれたんですよね。

 

時には他の仕事をペアに任せて30分以上話を聞いていた時もありました。

 

他の人にはその辺理解できなかったのか、点滴を抜こうと暴れた時に他の女看護師が即座に抑制をしようとしたのを止めに入ったこともあります。

 

入院期間中は毎日孫が面会に来ていたのですが、ひ孫を連れて来てた時なんかは本当ににこやかで嬉しそうにしていたのを強く覚えています。

 

上がらないSpO2

そんなこんなで入院期間が2週間程経ち、抗生剤治療が功を奏して炎症反応も正常値まで戻ったんですが、なぜかSpO2だけが中々上がってこないような状況でした。

 

抗生剤治療も終わっえt、ご飯も自分で食べれていたのに酸素化が悪いってことでただただ入院生活を継続していたような状態です。

 

相変わらず酸素を外しちゃうこともあったのですが、酸素を外しても別に辛そうでは無くて看護師はもちろん主治医まで不思議やな〜って話をしていました。

 

だって酸素してないとSpO2は80%台とか、安静にしてなんとか90%台に乗るかどうかってくらいですからね。

 

まぁ結構間質性肺炎やCOPD持ちの患者さんってそういう人多いんですが、それでも鈴木さんの状態というのは不思議に見えました。

 

しかし、入院生活が続いていたせいか、徐々にではありましたが鈴木さんは弱っていきました。

 

なんとか家に返そうぜ計画の発令

そんな状況の中、相変わらず本人は家に帰りたい帰りたいという意思は強く持っていました。

医師も酸素化が悪いのは元々の既往のせいもあるってことで、このまま入院生活を送っても弱っていく一方だということで元の生活に戻してあげようって判断に至り、ここから退院調整が始まりました。

 

お孫さんの理解も理解もあり、

・俺

・メディカルソーシャルワーカー

・ケアマネジャー

・病棟の退院調整看護師

・地域医療担当の訪問看護師

・孫

 

で何度も話し合いを行い、以下のことが決まりました。

 

・介護認定を受け直し在宅でのサービスを導入する。

・在宅での生活が難しいようなら施設入所を検討する。

 

基本的に夜は孫、日中は介護保険サービスで見守ろうという話になりました。

 

正直日常生活動作はそれなりに介助が必要だったので、一人で生活できるような状況では無かったのですが、本人の強い希望と孫もそうしてあげて欲しいという想いがあったので、まずは一度家に帰して様子を見てみようという方針になったのです。

 

退院が決まったことを伝えたときの本人の喜びようは半端ないものがありました。

 

さらに退院当日には孫にケアマネジャーに地域医療担当訪問看護師3人体制で家に送り届けるという中々贅沢な送迎付きで帰ることになったのです。

 

ただし残念なことに、退院当日は俺は夜勤だったのでサヨナラの瞬間に立ち会うことが出来ませんでした。

 

その瞬間は突然やって来た

退院当日、俺は日中にブログも書いて読みたかった本も読んでかなり気分良く夜勤に向かいました。

夜勤のメンバーも好きな人ばっかりだったので割とテンションも高めだったのです。

 

鈴木さんちゃんと帰れたかなぁという思いも抱きつつ、さぁ働くぞ〜って意気揚々に情報収集を始めようとしたら偉く病棟が騒がしいんですよね。

 

そして横にあるエンゼルケアセット、、、

 

http://mens-nurse.com/エンゼルケアの必要性/(ちなみにエンゼルケアの関連記事はこちら)

 

「誰かステったんですか?」

 

って聞くと

 

「鈴木さんやって、あの鈴木さん。」

 

??

 

初めはガチで冗談だと思いました。

 

「いやいや鈴木さん今日帰ったでしょ?」

 

って言ったんですが、マジでマジでいうもんだから調べて見たら

 

本当に亡くなったのはあの鈴木さんでした。

 

本当は夜勤の情報収集をしないといけなかったしそもそもその日受け持ちでも無いのに訪室するものって思いも一瞬よぎりましたが、そんなんどうでもいいやってことでこっそり訪室すると。

 

そこにはあの鈴木さんと泣きじゃくる孫の姿がありました。

 

一体退院後に何があったのか

退院後について付き添っていたケアマネジャーさんに話を聞いたことを箇条書きにすると

 

・めちゃめちゃ嬉しそうに退院していった。

・家に着くと本当に喜んでようやく帰れたとみんなに介助されながら家に入っていった。

・興奮もあってか息がかなり上がっており、玄関に入って居間についたところで動けなくなった。

・しばらく部屋で様子を見ていたが一向に良くなる気配なく救急要請した。

 

ということでした。

そして搬送中に呼吸停止、蘇生措置を行なったが戻らず孫の意向もあって蘇生措置をやめたと。

 

なんだかとてもやりきれなくなりました。

 

真っ先に浮かんだのはこれです。

 

・本当は退院させるべきじゃなかったんでは無いか。

 

もちろん俺が帰そう帰そう言って退院が決まったわけではありませんでしたが、それでもこの思いはどうしてもありました。

 

鈴木さんのご遺体に触れながら、何度もゴメンゴメンと言いました。

 

でもなんな中で、孫がこんな言葉をかけてくれたのです。

 

「おばあちゃんは本当に幸せでした、家に帰れて本当に嬉しそうにしていたんです。だから退院したのは間違いじゃなかった、看護師さんにも本当によくしてもらいました。本当に(俺)さんのこと気に入ってたんですよ、あんなに人に気を許さなかった人なのに、こんないい人たちに囲まれて、家にも帰れて、本当にありがとうございました。」

 

(´;Д;`)

 

この言葉に本当に助けられました。

 

退院という選択は鈴木さんにとって間違いじゃなかったって。逆に言えばこれ以上入院していたら本当に退院なんて出来ない状態になってたんじゃ無いかって。

 

そもそも本来帰れるような状態でもなかったのに、これだけの関係者が協力しあって、本人が一番望んでいた家に帰るってことが出来たことは、誇れることなんだって強く思いました。

 

孫は本当に最後までありがとうありがとうと言ってました。

 

 

そして帰って怒られました、情報取って無かったので( ;´Д`)

 

地域医療を支える人たちの重要性

今回の件で強く感じたのは、本当に地域医療を支える人たちの重要性です。

患者さんが本当に望むことっていうのはマジで病棟看護師だけでは叶えることが出来ません。

 

看護の本質を考えれば本来自宅での生活をメインで考えないといけない訳です。

 

病棟の看護師が役に立たないなんてことは決して思っていませんが、それでも自分が病棟でできる看護って本当にちっぽけなもんだなぁと感じずにはいられませんでした。

 

こんな小さいブログを見てくれてるとは思いませんが、当時対応してくれたケアマネジャーさん、訪問看護師さん、本当にありがとうございました。

 

まとめ

ちょっと話は変わりますが、これだけ重要な役割を担う訪問看護師さんが看護師の全体の3〜4%しかいないっていう事実には違和感を感じずにはいられません。

 

まだまだ実際訪問看護師というのは

 

・おばちゃん看護師の行くところ

・キャリアダウン

・一度引退した看護師の行く末

・新卒で入っても技術が上がらない

 

みたいな風潮や考えがありますが、まじでそれは違うと思っています。

個別性の高い看護をしようと思ったら、まずはその人の元の生活ありきでの看護を考えなければいけません。

 

地域で療養する患者の生活を知っているからこそ、病棟で帰ってからの生活を意識した看護ができるんじゃ無いかって考えれば、訪問看護から入って病棟で働くと入った流れがあっても何にもおかしくは無いと思うんですけどね。

 

以上、今回はささっと終わらせようと思って書き始めた今回の記事なんですが結局めちゃめちゃボリュームの大きい記事になってしまいました。

 

みなさんはこの話を聞いてどう思いましたかね、あ〜いっぺんいろんな看護師と討論してみてぇ〜。

 

 

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