NIHSSとは?評価の方法やスコアの見方、rt−PA静注療法との関係について分かりやすく解説します!

こんにちはセイチューです。@f_c_t77

セイチュー

先輩!NIHSSの見方を教えてください!!
あぁNIHSSね、脳卒中の具合の見るのに使うスコアよ。

先輩

セイチュー

いやそれは知ってるんですけど、それぞれの評価が何を見てるのかとか、tPAの時にどう使ってるのか、何点以上がどうなの?とかも教えて欲しいんですけど。
え?あぁ、え〜と、う〜ん。

先輩

セイチュー

え、先輩も分かってないんですか?
知ってるわよ、知ってるけど、そういうのはちゃんと自分で調べなさい!!

先輩

 

みなさんNIHSSってご存知ですか?脳神経外科じゃないとあんまり馴染みのない言葉なのですが、案外専門で働いていてもその詳しい内容についてよく理解していない人が多かったのでここでしっかり理解してもらいましょう。

 

NIHSSとは

NIHSSとは(National Institute of Health Stroke Scale)の略で脳卒中重症度評価スケールのひとつです。

主にrt-PA静注療法中の評価に用いられますが、その後の脳卒中の回復具合を見るために使用されることも多いスケールです。

全11項目あり、各項目でその症状から0~4点の点数が振り分けられ、合計で最低0点から最高42点となり5~9点は軽症、10~15点は中等症、16点~20点は重症、21点以上は超重症と点数が高くなるほど重症です。

検査項目は多いですが、急性期における評価を行う検査であるため、約5分ほどで実施する必要があり、検者には相応の経験が求められる検査でもあります。

評価項目

1.意識の評価

1a.意識水準

声かけと痛み刺激を与えて反応を評価します。

0:清明

1:覚醒していないが簡単な刺激で覚醒し,命令に従ったり,答えたり,反応する.

2:強い刺激や繰り返しの刺激で覚醒する.

3:覚醒せず,反射的運動や自律的反応しかみられない.または無反応,弛緩状態,無反射状態である.

1b.意識障害-質問

今月の月名および年齢を尋ねる. 近似した答えには点数を与えない。 最初の返答を評価します。
ヒントは与えてはダメ。
昏迷・失語症で評価不能な場合は 2 点。 気管内挿管・口腔外傷・強度の構音障害などで評価できない場合1点。

0:両方の質問に正解

1:一方の質問に正解

2:両方とも不正解

1c.意識障害-従命

”眼を開ける、閉じる”を命じ、続いて“手を握る・開く”を命じる。 手が使えない場合や外傷・切断などの場合には,”口を開けてください、閉じてください”など他の 1 段階命令に置き換えても可。 筋力低下のため完遂不可能な場合には点数を与える。 パントマイムで示しても可。
昏睡などで評価不能の場合は 2 点を与える。
最初の企図のみを評価する。

0:両方とも遂行可

1:一方だけ遂行可

2:両方とも遂行不可

2.最良の注視

意識があり指示が入る場合、水平眼球のみ評価する.顔を固定しペンなどを動かして眼で追ってもらう。共同偏視があっても随意的・反射的に動く場合は点数を与える。 意識障害で評価不能の場合“人形の目”手技で評価を行う。

0:正常

1:部分的注視麻痺

注視が一側または両側の眼球で異常であるが固定した偏視や完全注視麻痺でない. 意識障害でも“人形の目”手技で反応がある場合.

2:“人形の目”手技で反応のない固定した偏視または完全注視麻痺.

3.視野

上下 1/4(右上・右下・左上・左下の 4 点)を対座法で評価する。 検者の指を動かす、指の本数などを答えてもらう。
患者の片眼を隠してそれぞれの眼で確認する。
意識障害の場合,開眼していれば 4 方向から眼球をつつくような動作を行い眼を閉じるなどの反応をみる。

昏睡などで評価不能の場合は 3 点を与える。1/4 盲を含む明らかな左右差がある場合 1 点とする。
全盲であればどのような理由でも 3 点とする。

0:視野欠損なし

1:部分的半盲
2:完全半盲

3:両側性半盲(皮質盲を含む全盲)

4.顔面麻痺

口角を上げて笑う動作を行ってもらう。 続いて額にシワをよせる動作を行う。

口頭ないしパントマイムで命令を行う.

意識障害時などは、痛み刺激を与えて評価する(反応が全くない場合には 3 点)。

0:正常な対称的な動き

1:軽度の麻痺(鼻唇溝の平坦化,笑顔の不対称)

2:部分的麻痺(顔面下半分の完全あるいはほぼ完全な麻痺)

3:完全麻痺(顔面上半および下半の動きが全くない)

5.上肢の運動

座位の場合は 90 度、仰臥位の場合は 45 度に手を上げてもらい評価する。 掌は下側にして行う。 検者が10秒をカウントし評価する。
非麻痺側より検査を行う。

一側ずつ検査を行う。 両側評価を行い、それぞれに点数をつける、 意識障害・失語症でも必ず評価をする。

0:下垂なし(10 秒間肢位を保てる)

1:10 秒以内に下垂するが,ベッドまでは落ちない

2:重力に対しての動きはあるが,10 秒間保持は不可能であり,ベッド上に落ちる

3:重力に対しての動きが見られない.ベッド上に即座に落ちる(近位筋を用いて,なんとか挙上しようとする動作はある)

4:全く動きが見られない

N:切断・癒合(点数には加算しない)

 

*片麻痺の場合は,非麻痺側より評価 右上肢・左上肢ともに点数を与える

6.下肢の運動

下肢は仰臥位,30 度に下肢を挙上してもらう。検者が5秒をカウントする。 非麻痺側より検査を行う。
一側ずつ検査を行う。 両側評価を行い、それぞれに点数をつける. 意識障害・失語症でも必ず評価をする.

0:下垂なし(5 秒間肢位を保てる)

1:5 秒以内に下垂するが,ベッドまでは落ちない

2:重力に対しての動きはあるが,5 秒間保持は不可能であり,ベッド上に落ちる

3:重力に対しての動きが見られない.ベッド上に即座に落ちる(近位筋を用いて,なんとか挙上しようとする動作はある)

4:全く動きが見られない

N:切断・癒合(点数には加算しない)

 

*片麻痺の場合は,非麻痺側より評価 右上肢・左上肢ともに点数を与える

7.運動失調

鼻指試験(人差し指を鼻につけてもらい、検者の人差し指に合わせるように指示する)、膝踵試験(対側の踵を膝から足首,続けて足首から膝までスネに添わせて動かしてもらう)を行う。両側評価をする。
運動麻痺がある場合、麻痺の程度を差し引いて評価を行う(麻痺で動かしにくくても指示にしたがって動かそうと出来ていれば点数を与える) 。理解力のない患者・片麻痺の患者では 0 点とする。

0:なし

1:1 肢に存在(片側上肢のみ,または下肢のみ)

2:2 肢に存在(片側上下肢も 2 点とする)

N:切断・癒合(点数には加算しない)

8.感覚

爪楊枝で体の様々な部分を両側的に刺激し知覚があるか、又は痛みに対する反応があるか評価を行う。

意識障害や失語症の場合は、痛み刺激からの逃避反応により検査する。
脳血管障害による感覚障害のみを評価する(頚椎症など他疾患によるものは評価しない)。 重篤あるいは完全な感覚障害が明白にある場合に 2 点とする。脳幹部障害で両側感覚障害がある場合は 2 点とする。

昏迷・無反応・四肢麻痺の患者は 2 点とする.

0:正常.感覚障害なし

1:軽度から中等度の感覚障害(つまようじによる痛み刺激を鈍く感じる、つまようじによる痛み刺激を感じないが、触られているのはわかる)

2:重度から完全感覚脱失(触られているのもわからない)

9.最良の言語(失語)

 絵カード・呼称カード・文章カードを用いて行う。 絵カードの中で起こっていることを尋ね、呼称カードの中の物の名前を言わせ、文章カードを読ませる。

視覚障害がある場合には、手の中に置かれた物品の同定、復唱、発語を命じる。 気管内挿管の場合は書字で評価する.
昏睡患者には 3 点を与える。患者が完全に無言か、1 段階命令に全く応じない場合に 3 点を与える。

〜絵カード〜

〜呼称カード〜

〜文章カード〜

0:失語なし.正常

1:軽度から中等度の失語

(明らかな流暢性・理解力の障害があるが,表出された思考・形に重大な制限はない しかし,発後や理解障害のために与えられた材料に関する会話が困難か不可能 )

2:重度の失語( コミュニケーションは全て断片的で,検者は聞きなおし・推測が必要となる 検者は患者の反応から答えを同定することが困難)

3:無言・全失語,有効な発語や聴覚理解は全く認められない

10.構音障害

前出の9.最良の言語の検査で発せられた言葉で評価可能。失語症の場合,自発語の構音の明瞭さを評価する。

気管内挿管などで評価不能の場合は点数に加算しない。全失語・昏睡で評価不能の場合は 2 点を与える。

0:正常

1:軽度から中等度(少なくともいくつかの単語で構音が異常であるが,検者は理解し得る)

2:重度(検者が理解不能である)

N:気管内挿管または身体的障壁(点数に加算しない)

 11.消去現象と注意障害(無視)

視覚・触覚・聴覚・視空間などで評価を行う。

視覚に関しては被験者の顔より少し前で両手を同時に動かし、見え方に違いがあるかを確認する。

聴覚に関しては両耳に同時に音を聞かせ(指パッチンをする、指を擦って音を出すなど)、聞こえ方に違いがあるかを確認する。

触覚に関しては、両側同時に触れ、感覚に違いがあるかを確認する。

視空間に関しては紐を目の前に出し、真ん中を示してもらう。

などで検査をし、無視や消去現象がないかを確認する。

失語があっても両側に注意を向ける仕草がある場合は正常とする。昏睡は 2 点を与える。指示が入らず評価不能の場合は正常とする。

0:異常なし

1:視覚・触覚・聴覚・視空間に対する不注意,あるいは1つの感覚様式で 2 点同時刺激に対する消去現象

2:重度の半側不注意あるいは 2 つ以上の感覚様式に対する半側不注意(一方の手を認識しない,または空間の一側にしか注意を向けない)

NIHSSによって何がわかるのか

障害の部位が判断できる

NIHSSは脳全体で部分的なそれぞれの役割に対しての評価が行えることで、脳内のどの部分に障害が怒っているのかを評価することが出来ます。

例えば

1a:意識水準は中枢に障害があるかどうか

1b.意識障害-質問は海馬など大脳基底核に障害があるかどうか

5.6の上下肢の運動では被殻に障害があるかどうか

7の運動失調では小脳に障害があるかどうか

9.最良の言語(失語)では側頭葉、前頭葉の言語野に障害があるかどうか

など、脳内全体の役割に応じた評価が列挙されているため、全体のどの部分に障害が起こっているかを把握するのに役に立ちます。

障害の程度や変化が判断できる

脳梗塞で脳に障害が起こっている際、梗塞している動脈が再開通されれば障害の程度は軽減していきます。梗塞により障害が進行しているのか、改善しているのかをリアルタイムで判断するのに役に立ちます。

脳梗塞の急性期における治療では、逐次障害部位ごとの評価をするのは難しく、治療が開始される時間がどれだけかかるかが予後に大きく関わってきます。NIHSSの点数の変化を見ることで、脳梗塞の重症度がおよそどの程度なのか、改善傾向なのか、増悪傾向なのかという病態把握ができることがNIHSSのもっとも重要な目的となります。

NIHSS評価時の注意点

以下のような注意点があります。

1.必ず項目リストの順番に評価する。

2.検者の判断で評価をスキップしない。

3.記録は直後に行い後で修正しない。

4.患者をできるように誘導しない。

5.検査ができなかった場合にはその理由を記載する。

やりがちなのが2で、昏睡状態の患者だとほとんどの検査が出来ないのですが、それでも必ず全ての項目の検査方法通り施行する必要があります。

 

rt-PA静注療法とNIHSSの関係について

rt-PA静注療法を行う場合、治療開始後の神経学的な評価を行うことが指針として明示されており、NIHSSはその評価として採用されています。

その評価は

投与開始〜1時間:15分毎

1〜7時間:30分毎

8〜24時間:1時間毎

に行うこととされています。rt-PA静注療法はその最大の合併症として約5〜20%に頭蓋内出血(出血性梗塞)が起こるため、NIHSSの点数が悪化した場合などにはこの発症を疑い、危険と判断された場合には治療の中止をする判断基準となります。(NIHSSが何点上がったら中止などの指針は明確にされていません。)

また、検査前からNIHSSが23点以上の超重症患者はすでに頭蓋内出血などを起こしている可能性もあるため慎重投与となります。

また、NIHSSが4点以下の軽症患者はrt-PA静注療法は適応とならないとされています。ただし4点以下の患者に対しても適応させた結果その予後に未治療郡と比較して有意差のある改善が見られたとか、25点までが効果的であるという論文報告があるなど、一概に全てがNIHSSによって判断される訳ではないという点に注意が必要です。

まとめ

NIHSSはrt-PA静注療法の普及と共に少しづつ認知度が上がってきた評価方法ではありますが、まだまだ十分に理解されていない評価法です。

障害部位に応じた神経学的評価方法はいくつもありますが、このNIHSSは部分部分の障害を細かく評価するものではなく、全体として脳梗塞がどの程度の状態であるかの病態把握が一番の目的であり、急性期における迅速評価においてその真価を発揮するものと理解していただければと思います。

 

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